教区報

教区報「あけぼの」

「今、私たちに必要なのは」2014年4月号

イチャンヒ司祭の写真 私が住んだ「清州(チョンジュ)」という町は、韓国ではあまり大きくない町です。今から30年前には最も高い建物は7階でした。もちろん、今では50階程度の建物もあります。 2年前、東北教区訪問団と一緒に大田教区を訪問した時、私が子どものころ住んでいた町の前を通って行きました。通り過ぎて行く前に多くの期待をしました。「清州も多く成長したので、私が住んでいた近所も多く変わった」という期待感がありました。しかし、その期待はすぐに失望に変わりました。15年前、引っ越しをした時と今の姿はあまり変わらずにそのままでした。子どものころ友だちと遊んだ家の前の道もそのままだったし、建物もほぼそのままでした。

 

 その日の夕方に宿に帰って、なぜ私はそんなに失望をしたか考えてみました。その理由 は明らかになりました。これは、過去15年の間引越しした後、一度もその町に行かなかったからでした。それで、私は頭の中で考えていた姿と現在の町の姿が違う姿があったので失望をしていたようです。

 

チョンジュの街

 ヨハネによる福音書1章35節以下を見ると、イエス様がヨハネの弟子たちに「何を求めているのか」と言われた時、その弟子たちは、「先生どこに泊まっておられるのですか」と言いました。その質問に、イエスは、「来なさい。そうすれば分かる」と言われました。そうです。我々はそこに行って見る前に、私がそれを経験する前に、私の考えが自分自身を支配しています。 経験というのは非常に重要なことです。それゆえ、運動選手たちも多くの試合に参加して経験をします。試験を準備する学生は、試験の前に多くの準備を通じて試験の経験をしたりします。

 

 今、皆さんに最も必要なものは何ですか?それは、経験です。直接被災地に来て、見る経験が最も必要なときです。 2011年3月11日、大震災以降、日本聖公会中心だった「一緒に歩こう!プロジェクト」が、2013年6月にすべての活動を終え、7月から「一緒に歩こう!パートⅡ」として、「だいじに東北」を設置し、去年10月12日仙台聖フランシス教会で「だいじに・東北」の活動を開始する礼拝をささげて新たな活動を展開しています。

 

被災地で活動するイ司祭

仮設住宅夏祭りにて

 今、私たちに最も必要なことは、イエス様がヨハネの弟子たちに言われたように「来て、見る」ことです。来て見ればわかります。イエス様がいらっしゃるところに、来なくては、イエス様の愛がどんなものか、イエス様がどんな方であるかを正確に知ることができないように、被災地に来て、見なくては正確なことを知ることができません。文書で読むこと、他の人から聞くことより重要なのは、私が直接その場所に立って被害状況を見て、被災者から直接話を聞くこと、それが最も必要なものです。 まだ被災地を一度も訪問していなかったら、今からでも「だいじに東北」を通じて「来て、見て」ください。

 

 

あけぼの 2014年4月号より
司祭 ドミニコ 李 贊熙