教区報

教区報「あけぼの」

「聖ヨハネ祭のこと」2015年9月号

昼間の時間が一番長い夏至の日付は年によって違いますが、今年は6月22日でした。この夏至に近い24日に洗礼者聖ヨハネ誕生日を迎えます。バプテスマのヨハネがイエス様よりも6カ月前に生まれたというのでこの日が祝われるようになりました。

 
ヨーロッパではミッドサマー(Midsummer)と呼ばれ夏至祭が祝われます。北欧では葉っぱや花の飾りをつけた柱(ドイツ他の五月柱〈メイポール〉が伝わったもの)が広場に立てられ一晩中踊り明かして、たき火を焚いて祝うそうです。

 
ところが日本はちょうど梅雨のときと重なり、曇り空で太陽が見えないので、うっかりすると夏至を忘れて過ごしています。

 
さて今年は雨がさっぱり降らなくて、6月26日(金)にようやく「東北南部が梅雨入りしたと見られる」と発表があり、土曜日に青森も恵みの雨となりました。夕方から嵐になり、少々降りすぎましたが、まとまった雨はこのときだけで、南の地域には申し訳ないのですが、青森は、晴れの日が続いています。(※1)
朝3時半というともうすっかり明るくて、夕方7時半になってもまだ日差しが残っています。晴天続きの今年、しみじみ夏至を肌で感じることが出来ました。
聖ヨハネ日前夜に摘む薬草は特別な効果があると言われています。切り傷や神経症に薬効があると言われる西洋弟切草はSt. John’s wortと呼ばれていますが、採れる真っ赤な浸出油が聖ヨハネの最期を連想させるのでこの名前が付いたようです。

 
このオトギリ草を摘んでお母さんの病気を治すステキな童話があります。

 
Google画像やYouTubeで「聖ヨハネ祭」と検索するとおびただしい数のスカイランタンが夜空を舞う美しい素敵な光景を見ることが出来ます。2010年に公開されたディズニー映画「塔の上のラプンツェル」の中にランタンが飛ぶシーンがありますが、聖ヨハネ祭からヒントを得ているようです。真似したいのですが、火事の心配があるので出来そうにありませんが、こんな祭があったらなと思います。

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夏至の頃に電気を消してスローな夜を過ごしませんか、と環境問題に熱心な方々が発起人となって「100万人のキャンドルナイト」の運動が呼びかけられ10年間続けられ2012年に一区切りとなりました。今は各地で自主的に開催されているようです。

 
東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以来「電気に頼る暮らしがいかがなものか」と問わない訳にはいきません。

 
脚本家の倉本聰さんがTVドラマ『北の国から』を始めたのは「電気がなければ暮らせないのか?」という問いかけからだったそうです。富良野の大自然の中で、聰さんが私財を投じて開かれていた俳優養成のための富良野塾(今は閉塾)には「あなたは文明に麻痺していませんか 石油と水はどっちが大切ですか ‥‥‥あなたは感動を忘れていませんか‥‥‥」と書かれていました。

 
考えてみれば電気も石油も車もない時代にイエス様のいろいろな出来事があったのです。

 
青森には六ヶ所村とか大間とか原子力発電関連施設があり、ことに大間に行きますと晴れた日に対岸に函館が見えるのです。「後戻りはできないのですか」と問わないでいられない毎日です。私たちにも覚悟がいるのではないでしょうか。

 

 

 

 

司祭 フランシス 中山 茂

※1 統計開始以来、東北南部は1967年に並んで最も遅く、記録的に遅い梅雨入りでした。東北北部は一番遅い梅雨入りは同年7月3日とのこと。昨年より3週間遅い梅雨入りでした。青森は、梅雨のない北海道の影響を受けるようです。