教区報

主教コラム

ほそ道から 第2回

先月の「ほそ道から」の最後に、方向感覚がずれている自分に気づいたこと、だから「回心の半分、90度だけ自分の磁石を変えて『道に迷わない』ようにしなければなりません」と記しました。これをお読みになって「回心の半分、90度だけって、何が言いたいのだろう、意味不明!?」と思われた方がおられるかもしれませんね。

 

今年は2月14日から大斎節に入りました。大斎節は復活日に洗礼を受ける予定の人々の準備期間として始まったようです。最初は3日から一週間程度だったものが、イエス様が荒野で40日間断食し試みられた物語と結びついて、現在のような「大斎節」になったと考えられています。

 

大斎節の始まりが洗礼準備期間だったということは、私たちがこの期節を守る上で、とても大切な点でしょう。教会問答の問19は、「洗礼を受ける人に必要なことは何か」に対して、「罪を悔い改めて悪の力を退け、イエスを救い主と信じ・・・」と答えています。

 

つまり自らの「罪を悔い改める」ことが、洗礼を受けることを願う人に求められているのです。イエス様の宣教の第一声も「時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい」でした。この「回心」とか「悔い改め」と訳されている言葉には、「180度向きを変える」という意味があります。つまり今までの自己中心の、自分だけを大切にする生き方から、神様を中心にする、神様と隣人を大切にする生き方に方向転換するということです。

 

私の方向感覚のずれは90度だけ向きを変えればよいのですが、私たちが誤った道に迷いこまないためには、どうすればよいのでしょうか。それは、今の自分がどの方向を向いており、何を大切にしているのかを、自らの心に素直に聴くことから始まるのではないでしょうか。

 

教区主教

あけぼの2018年3月号