教区報

主教コラム

欅並木から 第1回「主教コラム(初回はタイトル未定でした。)」

stockvault-killarney-park-forest-trail---hdr135436かつては「旅する教会」と「台原だより」をこの「あけぼの」に連載していました。「旅する教会」はその後単行本になり、いくつかの教会の読書会等でも用いてくださったとか、感謝しています。主教としての日々の雑感や折々の事柄を綴っていた「台原だより」は東日本大震災の発生の中で途絶えていました。

 

大震災から三年目を迎える今、決して余力が出来てきたわけではありませんが、やはり少しずつ書かせていただこうということになりました。タイトルは未定です。

 

さて、東北教区主教座聖堂・仙台基督教会の新しい礼拝堂、教区と教会の施設がいよいよ完成、3月1日に聖別式ということになりました。仙台における伝道の開始は一八九四年、民家から出発し、一九〇五年に現在地に「新築会堂聖別式挙行」、一九三四年に東北地方部の大聖堂に、そして一九四五年七月、仙台大空襲により焼失という歴史を持っています。今回も古い赤レンガが発掘され、記念されようとしています。前の聖堂は一九五七年に聖別されていますが、一九七八年の宮城沖地震等によって被害を受けてもいます。いずれの教会でもそうですが、歴史を感じます。建物の歴史もそうですが、その中で祈り続けてきた信徒の信仰と祈りの歴史があります。

 

教会の建築というのは大変です。個人の家や会社とは違った意味で、一人一人の信仰に基づいた思いがあります。それをまとめてきた関係者の労苦に敬意を表し感謝します。建物が完成した後も、様々な課題は出てくるでしょう。しかし皆が祈り続けながら、癒しと和解と回復の家としての中身を作り上げていかなければならないのだと思います。大震災の中で、全国の多くの人に祈られ支えられてきた聖堂としての新しい歴史が始まるのでしょう。