教区報

主教コラム - 2022年の記事

礼拝堂探検隊 第21回「チャリス・パテン」

今回は聖餐式の時に聖別されたぶどう酒を入れるチャリスと、パン(ウエファース)を入れるパテンです。金または銀で作られていますが、それは酸による腐食を防ぐためだそうです。

 

 

初期の時代のパテン(paten 聖皿)は、会衆から献げられた大きなパンを受けるためにかなりの大きさだったようです。しかし中世中期になりますと、パン(聖体)が種なしの薄いものになった関係で、パテンも小さくなったようです。

 

初期の時代のチャリス(Chalice 聖杯) はガラス製が一般的でしたが、ほかの素材(木製など)を使うこともありました。チャリスの最も古い形は、カタコンベに描かれているもので、二つの取っ手がついた、柄(ステム)のないボウル状だったそうです。

 

4世紀に入ると金製や銀製が一般的になり、それに宝石などを嵌めたものも作られました。もっとも9世紀頃までは陶磁器や木製のものもあったそうです。映画の「インディー・ジョーンズ 最後の聖戦」で登場した聖杯も木製でしたが、宗教改革者ツヴィングリも木製のものを使ったそうです。現在のような形になったのは14世紀だそうです。

 

 

最後の晩餐の記事のように、聖別されたぶどう酒は一つの杯より飲むのが正当とされています。なぜなら主イエスは「皆、この杯から飲みなさい」(マタイ26:27)と言われたからです。プロテスタント教会で個人用のカップを用いる所がありますが、主として衛生的見地から19世紀に米国で始められたものです。しかしこれでは「分ち合う」という意味を弱めてしまうと言う批判もあります。

 

 

(教区主教)

 

 

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礼拝堂探検隊 第20回「祈祷書」

 

今回は「祭壇用祈祷書」です。とはいっても皆さんがお使いの祈祷書と中身は同じで大きいだけですが。

 

 

祈祷書は英語でThe Book of Common Prayer(ザ ブック オブ コモン プレイヤー)と言い、「共同の祈りのための本」という意味です。お祈りや礼拝式文が文書化されるのは3世紀になってからのようですが、今の祈祷書のように一冊本ではなく、礼拝の種類ごとに様々なものがありました。

 

例えば、中世には聖餐式と堅信式を同時に行う時には最低でも「ミサ典書」と「司教用定式書」が必要でした。ですから礼拝によって聖職は何種類もの礼拝書を操らねばならず、また当時の礼拝用書は非常に高価で、信徒用のものはなかったようです。

 

しかし宗教改革は信徒を、聖職が執り行う「聖なるドラマ」の観客から、聖職と共に礼拝を献げる者に変えました。また活版印刷術の発明は書物の大量出版と低価格化を実現しました。

 

 

1549年、英国聖公会大主教T・クランマーは中世の諸礼拝式文を一冊の本にまとめました。それが約470年にわたって、世界の諸聖公会で用いられている祈祷書の最初のものです。

 

クランマーは祈祷書作成にあたって、①複雑な礼拝を単純化する、②会衆が積極的に参加できる礼拝、③自国語による礼拝、④初代教会の慣習の回復、⑤聖書に基づいた礼拝用書にする、の5点を大切にしました。

 

祈祷書は時代の中で何度も改訂されてきましたが、このクランマーの基本方針は忠実に守られています。私たちは至宝の祈り集である祈祷書を大切にし、信仰生活を送りたいと思います。

 

 

(教区主教)

 

 

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礼拝堂探検隊 第19回「ろうそく消し」

 

今回は、祭壇周りで使うものですが、あまり目立たないものについて調べました。その名も英語でイクスティングウィシャー(extinguisher)と言います。なんだか舌をかみそうな名前ですが、早い話はろうそくを消すための道具です。ある辞書では「(帽子形の)ろうそく消し・消灯器・消火器」と訳されていました。このイクスティングウィッシュというのは「火・明りなどを消す」という意味で、そのものズバリの名前なんですね。

 

もっとも、ろうそくを消すためだけではなく、ろうそくを灯すための灯心が先端に組み込まれ、機能的に作られていますから、「ろうそく消し」という名称は正確ではないかもしれませんね。

 

かつてはろうそくが祭壇の高い所に6本も置かれていたため、それを灯したり消すための長い柄がついています。ろうそくは祭壇に向かって右側のもの(6本以上ある時は中央から)から順次火を灯し、消す時には逆に左側(外から内へ)消していきます。これは世を照らす光がキリストの象徴である十字架から出るということを現しています。

 

さてこの道具は普通ベストリーか聖所奥の脇の方に置いてありので、あまり目立ちません。辞書によると、イクスティングウィッシュ フェイス(extinguish faith)というと「信仰を失わせる」という意味になってしまいますから、やはり目立たない方がよいようです。

 

 

(教区主教)

 

 

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礼拝堂探検隊 第18回「ろうそく」

 

今回は「ろうそく」について調べてみましょう。

 

祭壇・聖卓の上にはろうそく(燭台)が乗っています。そして礼拝中には火が灯されるわけですが、どうして礼拝中には昼間でも「ろうそく」に火が灯されるのでしょうか。

 

旧約聖書にも燭台が用いられたことが記されていますから、ユダヤ教礼拝からの伝統ということができるかも知れません。

 

キリスト教礼拝で燭台を用いるようになった理由は、迫害時代にカタコンブ(ローマの地下墓所)で礼拝していたからだというのも説得力がありそうです。しかし、直接的にはイースター・ヴィジル(復活徹夜祭・復活日を迎えるにあたって夜を徹して礼拝が献げられ、夜明けに洗礼式が行われた。) でろうそくを灯したからだと言われています。

 

四世紀頃には礼拝で常に用いられていたようですが、西方教会で祭壇上に燭台を用いるように定めたのは一二世紀になってからだそうです。主教司式のハイマス(荘厳ミサ)には七本、ローマス(唱えるミサ)には二本という規程も作られました。

 

聖餐式をはじめとした通常の礼拝にも燭台は用いられますが、葬送式の時には棺の横に三本づつ計六本の燭台が置かれます。

 

これらはいずれもろうそくを「この世を照らす光、キリスト」の象徴として用いています。またろうそくは己の身を削って周囲を明るく照らします。そして私たちにも「世を照らす光」「仕える者」としての業に参与するように求めているのです。

 

 

(教区主教)

 

 

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