教区報

主教コラム

礼拝堂探検隊 第13回「クワイアー-②」

チャンセルを入ってすぐの「共唱席・クワイアーChoir」は、もともとは共同体の構成員(修道士や聖職団)が二つに別れて向かい合わせに座っていました。そこで詩編を交互に唱えたり(そのことを共唱すると言う)、朝夕の礼拝やミサが行われたのです。そこは日々の礼拝の場であり、共同体全体が「聖歌隊・クワイアー」でありました。写真はカンベリー大聖堂のクワイアーですが、ここではQuireと綴ります。

 

 

中世では共唱席に着席順序があり、後列に上位者が座りました。また祭壇に向かって右側の会衆席よりの位置が共同体の長や司式者の席で、反対側は次席者の席でした。ですから現在の教会で司式者や補式者、聖歌隊がそこに位置するのは、伝統的な「共唱席・クワイアーQuire」の用い方ということになります。

 

しかし、スクリーン(壁)で会衆席と聖歌隊席を区切るという中世の礼拝堂構造は、会衆と聖職団を分断し、聖歌隊を専門家化することによって、会衆が礼拝に参加することから遠ざけ、聖なるドラマ(ミサ)の観客にしてしまったのです。

 

現在における「共唱席」の意味は何でしょうか。私は「共に―心を合わせて―唱える」、「共に―心を神様に向けて―唱える」ということではないかと思います。司式者団も、聖歌隊も、会衆も、それぞれが礼拝における役割を果たしながら、共に心を合わせ、心を神様に向けて、祈りを献げ唱える者でありたいと思います。

 

 

(教区主教)

 

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礼拝堂探検隊 第12回「クワイアー-①」

『あけぼの3月号』でチャンセル(chancel 内陣)についてお話しましたが、その中に入る前に「聖書台・説教壇」「聖歌表示板」「オルガン」と寄り道をしていました。

 

ということで、やっとチャンセルの中に入った今回は、「クワイアー」です。こう書きますと、「エッ、聖歌隊も礼拝堂の一部なのですか」と言われそうですが、写真の弘前昇天教会で言えば、コミュニオンレール手前の両側にある、普段は朝夕の礼拝時に司式者と補式者が座る席のことを「クワイアーchoir」と呼び、日本語では「共唱席」と訳します。

 

 

中世後期のイングランドの聖堂は、会衆席(ネイブ)と聖所(チャンセル)はスクリーンと呼ばれる石造りまたは木製の壁で仕切られていました。カンタベリー大聖堂は、大きな階段を上ると、がっしりとした石造りのスクリーンがあり、その上には、立派なパイプオルガンがのっています。また、私が訪ねたことのあるオックスフォード郊外のカデスデン村にある諸聖徒教会(12世紀の建築)も鉄格子のスクリーンがありました。

 

スクリーンの内部は通常二つの部分に区切られています。一番奥(東端部。コミュニオン・レールの内側。サンクチュアリー・至聖所)には主祭壇があり、文語祈祷書までは、司祭または主教が聖餐式を執行していました。

 

日本聖公会では第7回(3月号)にも書きましたように、スクリーンのある教会は限られていますが、これを抜けて入った「クワイアー」にはどのような役割があるのでしょうか。

(教区主教)

 

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礼拝堂探検隊 第11回「オルガン-②」

16世紀に頂点を極めたパイプ・オルガンは、ピューリタン(清教徒)革命が起こった17世紀半ばの英国で、受難の時代を迎えます。

 

ピューリタンは、王制と共に主教制・祈祷書による礼拝を廃止し、ステンドグラスや石造りの祭壇、祭服・祭具と共に数多くのオルガンを破壊しました。オルガンは真の信仰にとって有害だと考えたからです。その後、ピューリタン革命は20年で挫折し、それに伴って17世紀後半には、再び教会でパイプ・オルガンの音色が響き渡りました。

 

 

東北教区の多くの教会で用いられているオルガンは「リード・オルガン」です。写真は弘前昇天教会にある米国のB. SHONINGER(B・ショニンガー)社製オルガンで、1882年頃のものです。19世紀半ばにフランスで実用化されたこの種のオルガンは、しばしば「足踏みオルガン」と呼ばれています。美しい音を出すためには、ペダルをゆっくり、深く、音が揺れないよう交互に踏むことが大切だそうです。

 

オルガンは、私たちが心から神様を賛美する礼拝に奉仕するためにあります。また私たちの心を静かに落ち着かせ、あるいは元気づける役割りもあります。時々、礼拝堂の正面に巨大なパイプが鎮座している教会を見かけることがありますが、主役はあくまでも神様であり、準主役はその神様に感謝賛美を献げる私たちの心なのです。その意味では私たちもオルガンも、共に神様に仕える存在であることを心に留めたいと思います。

 

 

(教区主教)

 

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