教区報

主教コラム

「昨日も今日も、また」2025年2月

 

昨年11月17日、仙台聖フランシス教会での主日聖餐式で「誕生感謝の祈り」を執り行いました。仙台市にお住いの札幌聖ミカエル教会信徒ご夫妻に、10月初めての赤ちゃんが誕生しました。札幌から父親のご両親も
駆けつけ家族揃って感謝を献げられました。式の間赤ちゃんの元気よい泣き声が聖堂内狭しと響き渡って、会衆は清々しく幸せな気持ちに包まれました。神様からの賜物の大きさを想い、赤子の成長と家庭の平安のため、また3人の親子に豊かな祝福をお祈りいたしました。
 
 

12月、青森聖アンデレ教会と弘前昇天教会の2教会と、聖マリア幼稚園、聖アルバン幼稚園、聖ヤコブ幼稚園そして明星幼稚園の4園で礼拝とクリスマス会を持ちました。少々あった疲労よりもお恵みのラッシュで神的な栄養をたっぷり頂いて心は健康です。

 

降誕日、弘前での聖餐式に自分の教会で礼拝ができなかった青森の信徒たちが勢い立ってレンタカーに乗り、11名が出席してさながら合同礼拝でした。祝会は昇天教会の皆さんが豪勢なオードブルを用意されて歓談に花が咲き、予期せぬ温かな信徒の交わりが展開されて感謝な一日でした。

 

今冬の青森は50年で3度目の記録的な大雪で、12月に積雪1m超えは滅多にない現象です。私が青森聖アンデレ教会に異動した2020年の冬がその1回で、赴任1年目に豪雪の大歓迎を受け、雪国の洗礼を受けたのを思い出しました。北の国では当たり前のことで特別驚くものではないですが、除排雪や寒さを忍耐し暮らすのは大変です。そういう環境に慣れ親しみ、何かで楽しまなければやはり辛いだけになってしまいます。
 暗くホワイトな午後に園児さんたちが演じる聖劇は、神様の愛のぬくもりとキリストの光を強烈に感じさせるものでした。子どもたち、保護者さんたちと先生方に神様の祝福がいっぱいありますようにお祈りいたしました。

 

 

(教区主教)

 

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「昨日も今日も、また」2024年12月

 

今年は韓国に3回も行かせていただき、なんという恵みでしょう。5月大田主教座聖堂聖別式、9月ソウル教区主教按手式、10月日韓聖公会宣教協働40周年記念大会で済州島を訪ねたわけです。大会には日本聖公会から45名、大韓聖公会から32名、プラスACC総主事とカンタベリー大主教主席補佐官らの特別参加があって総勢80名が集まり、3泊4日のプログラムで行われました。東北からは青年2名と、李贊熙司祭です。1人の青年はハングルが流暢で、青年たちとのおしゃべりを楽しんで快活だったことに、未来への希望を感じました。

 

大会テーマは「和解」で、2日目は終日日韓の現場からの声を聴き合い、分かち合いました。私は「自然との和解」
の部で、原発のない世界を求めている活動報告をさせてもらい、発題後共感する人たちに握手を求められ感激でした。

 

参加者たちは2度オンラインで事前学習をして大会に臨んでいます。それがとても役立ちました。日韓宣教協働の
歴史と済州島の2つの歴史を学んだのです。1945年8月15日以降、アメリカ軍事政府から約5年間、済州島民は虐殺と処刑の迫害を受けた歴史を私は初めて知りました。「4・3事件」と呼ばれています。3日は済州4・3平和公園に出かけ犠牲者追悼礼拝を献げ祈り、平和記念館を見学し、戦跡フィールドワークしました。私は沖縄が重なってきて、たいへん心痛み気持ちが重くなりました。その後、昨年礼拝堂聖別式が行われた済州友情教会に隣接して建てられた「済州日韓友情の家」の祝福式が、両首座主教の朴東信(パクドンシン)主教と上原榮正主教の共同司式により挙行されたのは目に見える和解と友好のしるしです。

 

 

友情の家は宿泊施設で日本聖公会の方には2025年中無料で貸し出されます。和解と平和、風と聖霊の島を旅する際はご利用できます。申し込みは長谷川まで。

 

 

(教区主教)

 

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「昨日も今日も、また」2024年10月

 

USPG(United Society Partners in the Gospel)の主催するリーダーシップトレーニングが、7月3日から23日まで栃木県那須塩原市にあるアジア学院を会場にして行われ、世界中から聖公会の青年たち9名が参加しました。

国別では、イギリス、パプアニューギニア、バングラデシュ、ブラジル、パレスチナ、そして日本でした。

 

プログラム中頃の7月12日に、私はアジア学院を訪問し参加者たちに東日本大震災についてお話ししました。
大地震と巨大津波と東京電力福島第一原子力発電所爆発事故による放射能被害、避難者のご苦労、
13年4カ月後の現況等を、スライドと、最新の福島県地図と東北地図を広げながら、想像できているかを随時確認しながら説明しました。
青年たちは熱心に耳を傾けて、時に目頭を熱くし、時に暗い顔をして痛みや怒り、悲しみ、口惜しさの感情を表していました。
彼らの感受性に接し、私は不思議と救われた思いで一筋の光を見ていました。

 

翌13日は朝から中型バスに同乗しての福島フィールドワークでした。福島県富岡町夜の森公園を経由して国道6号線に入り北上、車中から立入禁止の看板や倒れたままの家屋、大熊町で原発内の大型クレーンを目にしました。
初めて訪れる震災遺構浪江町立請戸小学校に立ち寄り、英語のガイド書を読みながら、さび付いた建物内を約1時間見学しました。日頃の避難訓練や津波に対する危機意識の重要性、また逃げている人同士の助け合いが奇跡を生んだ事実を知って、衝撃と感動を受けたと話す青年がいました。
最後に、新地町の祈りの庭で磯山聖ヨハネ教会信徒から大震災後の教会再建の苦労話を聞き聖餐式を献げ、その後磯山聖ヨハネ教会でアイスをほおばり信徒との語らいを持ちました。

 

この貴重な体験を今後の信仰に肉付けして、命の尊さを忘れずにと願ったことでした。

 

 

(教区主教)

 

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