教区報

主教コラム

「昨日も今日も、また」2025年7月

 

東北教区北海道教区合同教役者会が5月26日~28日、北海道教区の担当で開かれました。今回の主要テーマは、新教区設立に向けての現状と課題で、参加者はチーム北国メンバーから現状を聞き感想や意見を2日間語り合い、一歩も二歩も前向きに指向されたと思います。

 

二日目、私はアイヌ文化センター「白老ウポポイ民族象徴空間」を見学する機会を得ました。国立アイヌ民族博物館では陳列物を見ながらアイヌの歴史と文化、言語に少し触れました。歴史コーナーにはジョン・バチラー、バチラー八重子、金成マツの名前が登場し書籍が置かれ、ビデオ紹介もありました。チーム北国から発行された絵本「北のあけぼの―さあ、光を灯そう―」を思い浮かべてmここに居たかという感じでした。

 

広谷和史司祭さんの講演記録「アイヌモシリに生きる―人間の静かな大地」で、言語学者の金田一京助が近代の教会(旭川の教会の前身」を訪ねたことがきっかけで、知里幸恵がカムイ・ユーカラを筆録し、彼女が19歳3か月の若さで死去後、その教会に平取から赴任していた伯母の金成マツが仕事を受け継ぎ、23年間に記したアイヌ語が大学ノート1万ページに及んでいたこと、知里幸恵編「アイヌ神揺集」の序文にこう書かれていると紹介しています。

 

「愛する私たちの先祖が起き伏す日頃、互いの意を通ずるために用いた多くの言語、言い古し、遺し伝えた多くの美しい言葉、それらのものもみんな果敢なく、滅び湯行く弱きものと共に消えうせてしまうのでしょうか。おおそれはあまりにいたましい、名残惜しいことでございます。」

 

そうなのです、言葉は命なのです。「万物は言によって成った。言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に成ったものは、命であった。この命は人の光であった。」(ヨハネ伝1:3-4)北の大地で私は、万有のことばに出会っていました。

 

 

(教区主教)

 

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