教区報

主教コラム - 礼拝堂探検隊の記事

礼拝堂探検隊 第3回「洗礼盤-②」

前回の宿題「洗礼盤は真上から見ると何角形?」。答は「八角形」でした。

 

 

 

なぜ八角形なのでしょうか。それは神の創造の七日目を越える第八の日、即ち復活、新しい創造を象徴するからです。

 

 

 

京都の聖アグネス教会を上から見ますと、聖堂の南西部に八角形の洗礼堂があり、その中に洗礼盤が置かれています。このような形は五世紀頃に現れたそうですが、他にも長方形や十字架形、六角形のものもありました。

 

 

 

右の写真の洗礼盤は仙台基督教会のものです。形は円形で、置かれている場所も礼拝堂入口ではなく、会衆席と聖所との間です。円形の洗礼盤は14世紀頃から始まり、新生への母胎、永遠の命を象徴するそうです。また会衆席の前に置かれているのは、洗礼盤が祭壇、説教台、聖書朗読台と共に、教会の中の中心的な「救いのしるし」と位置づけられているからです。

 

 

 

このように洗礼盤の形は多様です。左は英国ソールズベリー大聖堂の巨大な洗礼盤で、多分の生命の泉を象徴しているのでしょう。

 

 

 

 

 

教区主教

 

 

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礼拝堂探検隊 第2回「洗礼盤 – ①」

教会の玄関ホールで掲示板に目を向けた後、皆さんは礼拝堂の扉を開けます。

 

さて、ここでクイズです。「礼拝堂を入った所に常に置いてある大切なものはなんでしょうか?」
①献金袋  ②洗礼盤  ③供え物(パンとぶどう酒)を載せる台  ④会衆席

 

 

答は②「洗礼盤」でした。確かに①や③、④も入り口近くにありますが、その配置は教会によって異なります。しかし洗礼盤だけは、多くの教会で入り口近くに置いてあります。なぜでしょうか。

 

それは、私たちが聖堂に出入りするたびごとに洗礼盤に目をやり、自分が洗礼を授けられた時のことを思い起こすためです。

 

私たちは洗礼によって、罪を赦され清められて新たに生まれ、キリストの死と復活のさまに等しくされ、神の家族である教会に迎え入れられ、永遠の命にあずからせていただきました(祈祷書278頁)。その恵みへの感謝と約束を思い起こすためなのです。

洗礼の時以外は用いられないので、しばしば見過ごしがちな洗礼盤ですが、聖堂に来られる度に祈祷書278頁を開いて、神様の恵みとご自身がなさった約束を噛み締めていただければと思います。

 

 

 

もう一つクイズ。「洗礼盤は真上から見ると何角形でしょうか。」(答は次回に)

 

教区主教

礼拝堂探検隊 第1回 「掲示板」

今月から主教コラム「ほそ道から」は、ちょっと寄り道したいと思います。題して「礼拝堂探検隊」。礼拝堂には様々な物があり、それぞれに意味を持っています。それを少しずつ調べてみようと思います。

 

 

教会の扉を開けて玄関ホールに入りますと、その真正面(教会によって設置場所は異なりますが)に見えるのが、第1回で取り上げる「掲示板」です。

 

ところがほとんどの皆さんは、玄関ホールに入った途端、掲示板に目を向けることなく、ご自分のなさねばならないことをされます。すなわち「礼拝出席簿」にご自分の名前を書く。その後の順序は人によって異なりますが、週報棚からご自分の週報類を取る、机の上の配布物を手に持つ、祈祷書や聖歌集などの礼拝用書を持つ、などです。

 

そして、ホールにいるアッシャーの方や信徒の方とあいさつを交わしてから、聖堂内に入られるはずです。中には食事当番のために、脇目も振らずに台所に直行される方もおられるかもしれません。

 

このように、私たちの教会の中で、目立たずひっそりと玄関ホールの片隅に佇んでいるのが「掲示板」なのです。

 

 

ところで「掲示板」は聖堂に必ず備え付けなければならないものではありません。掲示板は教会法ではなく「宗教法人法」というこの世の法律によって設置が義務付けられているもので、聖堂でなく教会事務所にあっても良いのです。けれどもこれは教会が信徒や関係者の方々に公式にお知らせする公文書を10日間掲示する道具なので、みんなの目に一番触れる所が良いということになります。

 

教会の総会や委員選挙の公示・公告、教区から出された公示(教区会・聖職按手・人事異動など)、教区事務所だよりや献金依頼のポスターなど、あらゆる公のお知らせがここに掲示されます。

 

掲示板には「十字架」のような霊的な意味はありませんが、私たちが教会生活を送る上で大切な道具なのです。チラッと見て下さい。

 

教区主教 あけぼの2019年6月号