教区報
主教コラム
礼拝堂探検隊 第24回「聖所灯」
聖堂に入ると、昼夜を問わず灯っている光があります。聖卓の上に灯っている赤いランプのことで、「聖所灯(サンクチュアリー・ランプ)」と言います。これは一体何のために灯されているのでしょうか。
この灯りはご聖体(聖別されたパン)が保存されているしるしで、十三世紀からの習慣です。ご聖体の保存そのものは古代教会時代から行われており、病気の方に捧持して聖餐に与らせるためでした。ご聖体を保存する容器をピックスと言い、それは聖櫃(せいひつ・タバナクル)と呼ばれる箱の中に安置されました。
この聖櫃の前に灯りをともす習慣は、英国では1240年にウースター教区のウォールター・ド・カンティループ司教が「ご聖体の前では昼も夜もランプが燃えていなければならない」と命じたことによるそうです。
東北教区の多くの教会には聖櫃がありますが、聖櫃そのものがない教会もあります。また聖櫃があっても聖体を保存していない場合もあります。にもかかわらず聖所灯は灯っている・・・。そもそも聖所灯は、「ご聖体が保存されているから敬意を払いなさい」との注意を促すしるしです。ですから常時ご聖体を保存していない場合には、聖餐式を行う時に点灯し、それ以外は消しておくのも方法かもしれません。
しかし聖所灯に与えられた意味を再解釈することが許されるなら、次のように考えることもできるでしょう。即ち聖所灯が灯っている場は、「あなたのために与えられた主イエス・キリストの体」を覚えて主に感謝する場、主と一つに結ばれる場です。このことを憶えて、主に一歩一歩近づいていきたいと思います。
(教区主教)