教区報
教区報「あけぼの」
「今さら聞きたいこと」2016年10月号
幼稚園は夏休みが終わり、境内地にまた子どもたちの元気な声が響いています。夏休みの間、子どもたちはどんな経験を積んだのでしょうか?
毎年この期間になると「夏休みこども科学電話相談」という番組がNHKラジオで平日の朝8時台からお昼前まで放送されます。私はこの番組が大好きで、夏のお楽しみにしています。この夏も甲子園の高校野球中継で中断されたり、また今夏はリオ五輪も加わり通常より長く中断されましたが、子どもたちの夏休みの宿題や自由研究に役立たてて欲しいという趣旨で、「昆虫」「天文・宇宙」「動物」「植物」等、10のジャンルの質問を幼稚園から中には中学生までの全国の子どもたちから質問を受けるものです。子どもたちの質問に答える先生たちは大学教授や動物園、プラネタリウム等の普段から子どもたちの出入りのある科学施設で働く職員の方々が務めます。子どもたちの自由な発想で為される質問に専門家の先生たちがどう答えるかが注目されますが、中にはタジタジになる先生方もいます。所謂、専門用語が通じない子どもたちにどうわかりやすく説明・解説するか、また、専門家の先生たちが、四苦八苦する様子がこの番組の聴き所です。
私は以前、高校受験に残念ながら失敗した生徒たちが翌年の受験に向けて準備する『予備校』で理科を教えたことがあります。大別して物理・化学方面を扱う第1分野、生物・地学方面を扱う第2分野と別れますが、私は第2分野を担当しました。面白いことに、その時の第1分野を担当されたのが他教派の牧師先生でした。そのために中学校の参考書や科学雑誌を取り寄せ研究したことがありました。私がこの番組に思いを入れるのはこのような背景があるからなのかもしれません。
この番組を聞いて印象に残る質問があります。3年ほど前、『両親が「この世に役に立たないものはない」って言っていますが、じゃあ、ゴキブリって何の役に立っているんですか?』という質問がありました。その問いに回答者の先生は『人間には余り役立っているようには思えませんが、ゴキブリをエサにしている生き物はいますから、その生き物にとってはなくてはならないだろうし、だから、ちゃんと役に立っているんだねぇ。』と回答していました。この答えも大変印象に残っています。これは早速子どもたちの礼拝での話に使わせて貰いました。
皆様は子どもたちから色々質問を受けたことはないでしょうか?教会や日曜学校、幼稚園で、神様のことや拝、教会のことを尋ねられたことはないでしょうか?昨年、ウイリアム神学館館長の吉田雅人司祭が「今さら聞けない?キリスト教」という本を出版されました。この本が扱っていること以外にも聞きたいこと、それこそ「今さら聞けない」ようなことがありませんか?私も沢山あります。でも何故か「今さら聞けない」思いが頭をもたげてうやむやにしていることがあります。この原稿を書いている前日に、遅まきながら秋田の教会で教区財政説明会がありました。普段ではなかなか聞けないことを聞くことができました。神様・信仰・聖書・礼拝・教会・教会・教区のこと等々、「今さら聞けない」ことを聞き合えるような教会であればいいなと思います。
司祭 アントニオ 影山 博美