教区報

教区報「あけぼの」

あけぼの2021年2月号

巻頭言「再び会いたいですね」

 

 

「教会相互の交わり・協働関係を深めます。」

 

「教区内17の幼保園(2019年現在)との協働関係を深めます」

 

 

これは東北教区宣教方針の2つの柱であるキーワード「ささげる」、「開く」の内の後者の具体的な行動指針として示されているものです。教区宣教方針が2019年11月に開催された第102(定期)教区会で決議されて早くも1年が過ぎました。

 

昨年はコロナ禍の中にあって教区の諸プログラムのほとんどが中止となりました。今年もどうなるか分かりません。

 

教会の礼拝は、感染予防をしながら再開されていますが、それ以外の事は自粛せざろうえない状況が1年近く今も続いています。皆さんと一緒に食事をして、語り合ったりする日常が特別な恵みであったことを人の出入りが減ってしまった静かな教会の会館で思います。

 

 

私自身の事を振り返っても教区の諸会議はほとんどインターネットを介したオンラインで参加しています。コロナ前は交通費や時間の節約のためにオンライン会議を教会でも取り入れていければいいなと思っていましたが、結局は話だけで終わっていました。

 

しかし、現在ではこれが日常になりつつあります。

オンライン会議はとても便利です。でも何か物足りません。何が物足りないのか。それは相手の感覚です。人間には五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)があります。

人類学者である山極壽一氏が興味深い事を言っています。「人間は、視覚と聴覚を使って他者と会話すると脳で『つながった』と錯覚するらしいが、それだけでは信頼関係までは担保できません。なぜなら人は五感のすべてを使って他者を信頼するようになる生き物だからです。そのとき、鍵になるのが、嗅覚や味覚、触覚といった、本来『共有できない感覚』です。他者の匂い、一緒に食べる食事の味、触れる肌の感覚、こうしたものが他者との関係を築く上で重要」なのだそうです。

 

コロナが終息するまではなかなか自由に行き来することは難しいと思いますが、いつか必ず皆さんとお会いしたいです。
教会問答の問27に「聖奠および聖奠的諸式、その他教会の働きはだれが行いますか」とあります。答は「神の民(キリストとその教会を表す信徒と聖職)が共同体として行います」です。

 

これは「教会の働きは一人もしくは各教会単独ではなく一緒に協働していく」ことを示しているだと思います。これは大変重要な事です。

 

一人の小さな手という歌をご存じでしょうか。「ひとりの小さな手何もできないけど、それでもみんなと手と手を合わせれば何か出来る」

 

私は教会間協働、幼保園との協働を地道に着実に行っていきたいと思っています。なぜならそれが教会の働きにおいて決定的に大切なことだからです。今は我慢の時です。しかし、私たちがそれぞれの感覚を互いに感じながら再び会える時が必ず来ると信じています。

 

 

司祭 ステパノ 越山 哲也(八戸聖ルカ教会 牧師)

 

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