教区報
教区報「あけぼの」
あけぼの2022年2月号
巻頭言 新年メッセージ 「みんな笑顔で、微笑んで」
2020年、2021年と2年間に渡って、今まで私たちが経験したことのなかった教会生活を送ることになった新型コロナウイルス感染症。昨年の10月中旬には東北教区内でも一週間の新規感染者数計が二桁まで減少し、少しほっとしておりましたら、新しい年を迎えた途端、また一気に三桁まで増加しております。
新年早々、暗そうな話題から入って申し訳ありませんが、どうぞ皆様、お身体にお気をつけくださいますようお祈りいたします。
✠スマイル、スマイル✠
私は走るのはあまり得意ではないのですが、駅伝、特に箱根駅伝を見るのをとても楽しみにしています。
ということで今年も1月2日は主日礼拝の時間を除いて、2日はスタートの時間からテレビの前に座って見ておりました。そうしましたら、選手の後ろを走る車の中から聞こえる監督の掛け声が、例年とはだいぶ違うことに気がつきました。
それは優勝した青山学院大学の監督の声が、前を走る選手に「スマイル、スマイル」と呼びかけているのです。必死で走っている選手からすれば、スマイルどころじゃないだろうと思うのですが、その呼びかけを聞いた選手の厳しい表情が一瞬とはいえ、ふっと緩むのです。肩の力がスッと抜ける、足取りが軽くなる。笑うこと、笑顔は人の気持ちや行動を変えるのですね。
✠意外と少ない笑い✠
へぇーっと思って、聖書は「笑い」をどのように取り上げているのか調べてみました。するとたまたまへぇー!!という結果でした。人間の「笑い」や「微笑」という言葉を調べてみますと、旧約と新約を合わせて36箇所あります。しかしその内、「あざ笑う」など否定的な意味の笑いが約4分の3を占めているのです。
良い意味での「笑い」は、例えばアブラハムとサラに息子が与えられた時、「その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい」(創17:19)とか「神はわたしに笑いをお与えになった。聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう」(創21:6)などがあります。新約ではルカ6:21の「今泣いている人々は、幸いである、あなたがたは笑うようになる」だけですから、少し不思議な気がします。
イエス様が笑っておられる場面も見当たりませんが、イエス様はしばしば譬え話の中で「一緒に喜ぶ」と言われています。私たちも喜ぶ時には自然と「ほほえみ」がもれてきますから、これがイエス様の「笑い」かもしれません。
✠心からの笑顔で✠
今のような時代だからこそ、私たちには「笑顔」が必要なんだと思います。笑顔・スマイルどころではないかもしれませんが、だからこそ意識的に口角を上げて笑顔を作ることで、心も身体もリラックスするのではないでしょうか。「笑顔・笑い」は免疫力も上げるそうですから。
そういった意味で、今年は、笑顔でいたいと思います。教会の礼拝においでになった方々、特に緊張しつつ初めて礼拝においでになった方を「笑顔」でお迎えしたいものです。そしてその方々がお帰りになる時は、「笑顔」でお帰りになられると、とてもすてきですね。
ご一緒にそのような教会を目指していきたいと思います。
教区主教 主教 ヨハネ 吉田 雅人