教区報
教区報「あけぼの」
「『特別活動』から 日々の祈りと働きへ -これからもだいじに・東北」 2015年5月号
「いっしょに歩こう!プロジェクト」の2年間、「だいじに・東北」の2年間、計4年間にわたって東日本大震災被災地において奉仕された方々、訪ね祈り、多くのものを捧げてくださった方々の数は数え切れません。また国内外各地で被災地を思い続け、奉仕と祈りを続けられた方々の数はさらに多く、心からの感謝を申し上げます。同時に、被災地にある教区・教会として、どれだけのことが出来たかという点では、申し訳なく恥ずかしく思います。しかしご承知の通り、極めて支援活動や社会的な視点をもった活動に疎く、行動力の乏しいわたしや東北教区の限界をはるかに超えて、各教区から多数のスタッフが「いっしょに歩こう!プロジェクト」に参加し、また「だいじに・東北」でも、お二人の専任スタッフ、事務長として松村豊さん(東京教区・聖アンデレ教会信徒)、支援室長補佐として福澤眞紀子さん(東京教区・聖マーガレット教会信徒)が大きな力となってくださいました。東北教区信徒の活動への参加も、地道に、しかし止まることなく続いてきました。それも大切なことであったと思います。
「だいじに・東北」も計画通りこの5月末をもって終了します。しかし「終わるけど・終わらない」のです。今年の3月11日、大震災4周年の記念礼拝の際に配布された東北教区のパンフレットは、「これからも・だいじに 東北!」となっています。大きな予算を与えられ、専任・専従のスタッフを置き、事務所を構え、多くの台数の車を保持して運用するような意味での「特別活動」は終わります。しかし被災地の労苦は決して終わってはいませんし、それどころか原発事故からの避難生活が長期化する多くの方たち等、困難さと労苦が増し加わっているようにさえ思います。そういう中で終わりはありません。「特別活動」は終了しますが、被災地にある教区・教会としてわたしたちの日常、宣教、祈りの事柄として大震災を覚え続け、祈り続け、また可能な働きを続けていきます。
4周年を迎えた3月11日、東北教区全教役者も集まり、ゲストもお迎えした主教座聖堂・仙台基督教会での記念礼拝だけではなく、各地の教会、幼稚園・保育園でも記念の祈りが捧げられていました。例えば、仙台の聖クリストファ幼稚園では、120人もの園児やその家族、教職員、信徒らが集まって祈りと黙想が捧げられました(司式・笹森伸兒司祭)。同幼稚園ではその前にも「いっしょに歩こう!プロジェクト」のDVDを、日曜学校と園児保護者向けに2度上映する機会が設けられており、関心はむしろ高まってきているようです。そのようなこと、東北教区の各教会、諸施設の日常の中で、いつも覚え続けていくようなことが、これから本当に大切なのではないかと思っています。
大きな災害や多くの人の犠牲、悲しみは東日本大震災だけではありません。各地において、教会や関連施設は、それぞれの地域の課題を担い、覚えて祈り、働いておられることと思います。東北教区もその中にあって、大きな苦難を抱く地域にある教区として、主の御心を祈り求め、歩み続けてまいります。どうぞこれからもお祈りください。
主教 ヨハネ 加藤 博道
あけほの2015年5月号
(写真は3月11日に行なわれた聖クリストファ幼稚園の礼拝)