教区報

教区報「あけぼの」

あけぼの2026年1月号

巻頭言 新春メッセージ「ほんとうの幸いに至る道を歩もう」

 

 

主を畏れることは知識の初め。無知な者は知恵も諭し侮る。(箴言1:7)

 

知恵に耳を傾け 英知に心を向けるなら
さらに分別に呼びかけ 英知に向かって声を上げ
銀を求めるようにそれを尋ね
隠された宝を求めるようにそれを探すなら
その時、あなたは主を畏れることを見極め 神の知識を見いだすだろう。
(箴言2:2-5)

 

その時、あなたは見極められるようになる
正義と公正と公平が 幸いに至る唯一の道のりであることを。
(箴言2:9)

 

 

新年のお慶びを申し上げます。

 

「2025耳を傾けようキャンペーン」によって、東北教区の信仰は導かれています。年度が改まりましたがが、「耳を傾けよう」は宣教・牧会の基本ですから継続していきます。時が移り、場所を変えても、常に神の声、人々の声、世界の声を聴き続けていきます。箴言は、何に耳を傾け、何を聴こうとすれば神の知識を見出すかを諭しています。神様から与えられる知恵や分別、英知によって、「正義と公正と公平が幸いに至る唯一の道のり」であると見極めるのです。

 

現代は混迷を極めています。自然現象が、そして人による仕業が、すべてのいのちを安泰から遠ざけています。それは片時も休まることを知らないかのようです。ロシアとウクライナの戦争、イスラエルとパレスチナの戦争、他にも多くの国々で紛争が後を絶ちません。キリスト教会は、武器を取り殺戮を繰り返す国と人々に向かって神の正義と公正と公平を説き、「その剣を鋤に、その槍を鎌に打ち直す(イザヤ2:4)」よう働きかけるようにと召されている器です。

 

 

2026年3月11日、東日本大震災から15年になります。東日本一体が大地震と巨大津波に襲われて未曾有の被害を経験した東北の人々は、直接の被災の苦しみと復興の名のもとにもたらされている苦労と、今も延々と続く放射能被害に呻き、押さえつけられています。

 

核大惨事で放射性物質が飛散しての被曝、汚染されている現状を国と東電は忘れさせようと仕向けます。被災者たちの初期被曝を否定し、小児甲状腺がん患者428人(2025年11月現在)の原発爆発事故による放射能と発症の因果関係を否認しています。

 

事故後、全国にある原発54基全基が停止しても電力不足は生ぜず火力、水力等で十分賄えました。原発ゼロの方向でしたが、2023年2月、閣議決定のみで原発推進の大転換となり次々と再稼働しています。

 

ALPS処理放射能汚染水の海洋投棄は、東京電力と福島県漁業協同組合連合会との間で交わされた「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束を、政府が反故にしての決定でした。2023年8月24日から汚染水は美しい太平洋に流され、かつてアメリカのビキニ沖水爆実験で事前通告もなく被曝した太平洋諸島の人たちが猛抗議するも、国は彼らの声を全く無視し続けています。

 

 

このような非人道的行為に対して、キリスト教会はいのちの尊厳を訴えて、両親を目覚めさせ、全人類が「幸いに至る唯一の道」を一緒に歩こうと辛抱強く、愛をもって語りかけるものです。「核といのちは共存できない」と。

 

 

この一年も皆さまが全能の神様に守られ導かれて、主の福音をすべての人々に宣べ伝え、あらゆる意味での解放を宣言してまいれますようにとお祈りいたします。

 

 

教区主教 主教 フランシス 長谷川清純

 

 

 

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