教区報

教区報「あけぼの」

あけぼの2022年10月号

巻頭言 東北教区の信徒への手紙 「『祈りによる交わり』-お顔を思い浮かべて-」

 

 

2020年1月以降、新型コロナ・ウイする感染症に苦しむ方々が増え始めて以来、学びと交わりの生活も大きな影響を受けてきました。それから約2年たった現在も感染症拡大と減少を繰り返しており、東北六県も8月には約32万人を超える方々が罹患されました。9月に入って少し減少傾向にありますが、まだまだ終息する気配は見えません。

 

現在、礼拝の休止に関しては、感染者数だけではなく各教会の地域の状況や、礼拝に出席されている皆さんの状況も考慮するようにお願いしていますので、2年前ほど頻繁に休止するということはなくなりました。しかし、礼拝後の茶話会や愛餐会等で食事を共にすることは、感染拡大が終息するまで休止していただくようお願いしています。

 

 

このような状況の中で、私たちの信仰生活の大切な要素である「交わり(コイノニア)」が損なわれつつあると、多くの皆さんが感じておられるのではないかと心配しています。もちろん「聖餐における交わりにあずかる」ことや、「み言葉を聞くことを通してキリストとの交わりにあずかる」ことは、神様より賜るお恵みのうちに保たれています。しかし、礼拝後の「顔と顔とを合わせて」の、信徒同士の目に見える交わりということにはなると、とても気を遣っておられることと思います。また感染症流行のためになかなか礼拝に出席することもままならない方や、病気療養中のために入院中の方々、高齢者施設で生活しておられる方々との交わりとなると、本当に困難な状況におかれています。

 

7月の教役者会で、「代祷の大切さ」ということが話題になりました。確かに「顔と顔とを合わせての交わり」は難しいところがありますが、「祈りの交わり」には制限がありません。どうぞ「祈りの交わり」のうちに、様々な距離にある方々を覚えていただければと思います。できればその方々のお顔を思い浮かべてお祈りしていただきたいのです。

 

と言いますのは、30年以上前に牧会していた教会で、日本キリスト教海外医療協力会からバングラデシュに派遣され、帰国されていた聖公会信徒のK・H医師の講演を聞いたことがありました。その講演の最後にK・H医師は、何枚ものバングラデシュの人々のスライドを見せてくださり、「この中のどなたかの顔を目に焼き付けてお祈りしてください」と言われました。出会ったことのない人でも、お顔を思い浮かべることで祈りがより具体的になるということを、その時教えていただきました。

 

 

ずっと困難な状況が続いていますが、聖書にも「御自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練を受けている人たちを助けることがおできになるのです。(ヘブ2・18)」という御言葉がありますように、イエス様が常に、私たちと共に歩んで下さっていることを心に刻み、「祈りの交わり」のうちに日々を過ごしていきたいと思います。

 
どうぞ皆様方には、十分にご健康に留意され、主にある慰めと励ましが豊かにありますようにお祈りいたします。同時に、一日も早い感染の収束と、入院・療養中の方々の回復、医療従事者・介護福祉施設職位の方々のお働きの上に、主の御導きと御護りをお祈りいたします。

 

 

教区主教 主教 ヨハネ 吉田 雅人

 

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