教区報

教区報「あけぼの」

あけぼの2022年6月号

巻頭言 東北教区の信徒への手紙 「ロザリオの祈り」

 

 

あまり聖公会では、「ロザリオの祈り」という古くからの教会の伝統の中で行われてきた信心業について語られたり行われたりしませんが、定年退職後数年、私はこの「ロザリオの祈り」に凝っています。毎朝起床後すぐにまずこの「ロザリオの祈り」を祈り、私の一日が始まるのです。

 

「ロザリオ」とは、“バラの花冠”という意味で、“アヴェ・マリアの祈り”を一輪のバラとみなし、数珠になっているロザリオの珠を繰る時、イエスさまの生涯のおもな出来事が“アヴェ・マリアの祈り”を背景にして魂の目の前で繰り広げられます。これらの出来事は、〈喜びの神秘〉〈光の神秘〉〈苦しみの神秘〉〈栄えの神秘〉と4つの神秘にまとめられていて、それを曜日ごとに分けて行われ、私たちが主をよりよく知り、より深く愛することが出来るように、整えられて黙想が出来るのです。

 

教皇フランシスコは、“ロザリオの祈り”に関して次のように言っておられます。「ロザリオの祈りは、わたしたちを神に開く効果的な方法の1つです。それはエゴイズムを克服し、家族と社会と世界に平和をもたらすのを助けるからです」と。

 

 

先日次のようなことがありました。ロシアによるウクライナへの武力侵攻は世界に大きな衝撃を与えており、いのちを守り平和を希求する多くの人たちの願いを踏みにじる形で自体が展開していきましたし、今も続いています。

 

教皇フランシスコは、いのちの危機に直面している状況を憂慮され、平和を求めるために様々に努力を続けておられて、去る3月25日「神のお告げの祭日」(聖公会では、「聖マリヤへのみ告げの日」)に、教皇はヴァチカン聖ペトロ大聖堂で、ロシアとウクライナを聖母マリアの汚れなきみ心に奉献されました。その際に教皇は、全世界の司教たちに、又司教を通じてすべての信者に、この奉献に一致して祈るように、出来れば教皇の祈りと同じ時間に祈りを捧げるようにと招かれ、呼びかけられました。

 

この呼びかけに応えて日本カトリック教会も、教会も、教皇によるローマでの奉献の時間が日本では夜になることから各教区で様々な工夫をしながら祈りの時が持たれました。大阪大司教区ではその「祈りの時」に参加して、世界の教会が同じ趣旨で同時に一致して祈るというこの機会に参加したい望みを持ちました。この「祈りの時」での公式の祈りは比較的長文の祈りでしたが、各国の言葉にすぐ翻訳されて世界中の教会が心を合わせて祈る祈りでしたし、「祈りの時」のベースは「ロザリオの祈り」でした。日頃少しは慣れ親しんできていた「ロザリオの祈り」でしたので、私でも参加しやすかったです。

 

このように「ロザリオの祈り」は、個人的信心業を越えて、「神の民=教会共同体の祈り」として全世界の教会が一致して祈ることが出来るという主なる神からの“招き”に気づかされましたし、その恵みに感謝した次第でした。

 

 

小名浜聖テモテ教会 嘱託 司祭 パウロ 松本 正俊

 

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